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好きな曲とか

This town ain't big enough for the both of us/Sparks この街は俺達二人には狭すぎる

Sparksというバンドの名曲で「This town ain't big enough for the both of us」という長いタイトルの歌がある。
1974年の曲。
日本には当時「ディス・タウン」として紹介されたらしい。
アメリカ出身のバンドだがアメリカのバンドとは思えない。
イギリスとかオランダ、ドイツ出身と言われた方が信じるね。実際イギリスに移ってそちらで名声を得たそうだ。
ちなみに「Kimono my house」とかいう曲も有る。

この歌は謎な雰囲気、謎な歌詞、口語的な表現で一見何を歌っているかわかりにくいが、とにかく「この街は俺達二人には狭すぎる」、つまり俺とお前は不倶戴天の敵である、と言いたいことがわかる。
顔を合わせたらすぐ決闘、という、西部劇のような台詞(途中で銃声みたいな音も鳴る)。
西部劇と言えばトイ・ストーリーのウッディが、「この町は俺たち2人が住むには狭すぎるぜ!」と決め台詞で喋るのはこの曲のパクリなんだろうか。
あるいは何らかの昔から有る決め台詞なのか?
わからない。
和訳。




この街は俺達二人には狭すぎる


Zoo time, is she and you time?
The mammals are your favourite type, and you want her tonight
Heartbeat, increasing heartbeat
You hear the thunder of stampeding rhinos, elephants and tacky tigers
This town ain't big enough for the both of us
And it ain't me who's gonna leave

動物園でお前とあの子は二人きり
お前の好みは哺乳類、中でもあの子を今夜落とそうと必死
高鳴る胸 速まる鼓動
お前の顔に腹を空かせた、サイや象や虎を突っ込ませてやりたい!
この街は俺達二人には狭すぎる
出ていくのは俺の方じゃない

Flying, domestic flying
And when the stewardess is near do not show any fear
Heartbeat, increasing heartbeat
You are a khaki-coloured bombardier, it's Hiroshima that you're nearing
This town ain't big enough for both of us
And it ain't me who's gonna leave

飛行、それも国内飛行だぜ
飛行機が怖いのに可愛いスチュワーデスが近くにいるからお前は必死で平気な振り
高鳴る胸 速まる鼓動
貴様をカーキ色した爆撃機に縛り付けて広島に突っ込ませてやる!
この街は俺達二人には狭すぎる
そして出ていくのは俺の方じゃない

Daily, except for Sunday
You dawdle in to the cafe where you meet her each day
Heartbeat, increasing heartbeat
As twenty cannibals have hold of you, they need their protein just like you do
This town ain't big enough for the both of us
And it ain't me who's gonna leave
毎日、日曜以外は、
お前はあの子と会うためにカフェで過ごしてコーヒーを啜る
高鳴る胸 速まる鼓動
20人の人食い族がお前を捕まえて、脳味噌を啜りたいそうだぜ!
この街は俺達二人には狭すぎる!
そして出ていくのは俺の方じゃない!

Shower, another shower
You've got to look your best for her and be clean everywhere
Heartbeat, increasing heartbeat
The rain is pouring on the foreign town, the bullets cannot cut you down
This town ain't big enough for the both of us
And it ain't me who's gonna leave
シャワー、もう一度シャワー
あの子の所に行く前に貴様は精々見映えを良くして、全身隅々まで綺麗にしようとする
高鳴る胸 速まる鼓動
異国に降る雨の中で、お前に注ぐ弾丸はお前を楽には死なせないぜ!
この街は俺達二人には狭すぎる
出ていくのは俺の方じゃない

Census, the latest census
There'll be more girls who live in town though not enough to go round
Heartbeat, increasing heartbeat
You know that this town isn't big enough, not big enough for both of us
This town isn't big enough, not big enough for both of us
I ain't gonna leave
統計、最近の人口統計じゃ
この街に女は増えてるらしいが、この界隈にはそんなに見ないよな
高鳴る胸 速まる鼓動
わかるだろう、この街は俺達二人には狭すぎる
この街は俺達二人には狭すぎる
この街は俺達二人には狭すぎる
そして出ていくのは俺の方じゃない




どこから出てるかわからんような柔らかい声で歌うラッセルの歌声が好き。短い曲のなかに散りばめられた、まるで舞台のような演出も。
歌詞の内容はかっこいい。
かっこいいようでよく聞くと下らない。というオチになってるの、わかる?
良い思いをしている相手の邪魔(する荒唐無稽な妄想)をして「この街は俺達二人には狭すぎるぜ」って。
お前が女の子と会ってるのが我慢ならない、って、男のするべき嫉妬かよ。
しかも「この街に女は多いらしいが俺の周りじゃあんまり見ないぜ」って、多分だけど、君はそのライバル君にはライバルだって思われてないよ!

主人公の言ってることが妄想だって視点に立ったレビューが見当たらないことが気になっていました。
相手は街の人気者で、たぶん主人公はナード。
その空回り感はサウンドでもよく表現されていると思う。
まあ普通にライバルに挑戦する曲として聴いてもかっこいいんだけど……。
主人公がモリアーティ教授ばりの大物ヴィランだとしたら成立するね。

独特の言語感覚。
恋の場面で高鳴る胸音が、歌い手の嫉妬の炎やライバルの危険の認識とも重なっていく構成も面白い。


ところでこの曲はキックアスの挿入歌として知った。
あの映画は音楽の選び方が本当に良い。ここはこの曲しかないという放り込み方をしてくる。
スタッフに神が混じってるんだと思う。有名な、バナナ・スプリットといい、ハレルヤといい。

劇中、まさにナードの主人公が、突然登場した人気者のアイツを、勝手にライバル認定したその瞬間に流れる曲がこれ。
凄いよね。
キックアスの続編の映画は悪くないんだけど選曲は駄目だったね。

スージーアンドザバンシーズの女声カバーがあるけど、ラッセルの声の方が女っぽくてかつ色っぽいよね。

以上。